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Posted by たまりば運営事務局  at 

2012年03月14日

鈴木大介の本

『deaikeinoシングルマザーたち~欲望と貧困のはざまで』鈴木大介著
この本を手に取ったのは、女性の貧困について関心があったから。
(deaikeinoと書きましたが、本当は漢字+ひらがな表記。このブログではこの言葉をその通りに書き込めません!誤解されるような用語は使わないということでしょうが、不便です…。)

読んでみて思ったのは、今の世の中、持ってる人は何もかも持ってる。持っていない人は何も持っていない。それどころか、アンラッキーなことが「これでもか!」というくらい重なる。そこには暴力があり、貧困があり、うつ病などの病気があり、教育の欠如があります。そして、一つ躓くと、負のスパイラルのように、悪いことがどんどん重なり、リカバリーできないようなシステムになっているかのようです。

さらに、この本に出てくる母たちには最終的なセーフティネットである「帰れる実家、頼れる親・親族」がありません。「絶対的に持たざる者」のどうしようもないような孤独と寂しさが、経済的困窮とともに、deaikeiに向かわせている理由だと著者は書いています。

「育てられないくせに子どもを産んで」という批判はあるでしょうが、子どもを育てることを母親だけに背負わせている社会のあり方が問われているのだと思います。例えば、フランスのように、シングルマザーでも子どもが育てられるようにさまざまなサポートがあり、またシングルマザーへの偏見がない社会であったなら、どんなに生きやすいし、また子どもも増えるのではないでしょうか。

鈴木大介さんの本は今後も注目したいと思います。

  


  • Posted by surlie  at 08:58Comments(0)

    2012年03月11日

    『オレにあやまれ!! ~史上最悪暴言DV夫との涙の7年間~』

    『オレにあやまれ!! ~史上最悪暴言DV夫との涙の7年間~』漫画です。作者は杉野BEATさん。
    モラハラ夫との7年間を振り返った力作です。正直、絵がうまいのかどうか、はあまり覚えていません。でもDVという重いテーマを扱っていても、抵抗なくスルリと読めます。

    DVと言っても「殴る、蹴る」だけでなく、精神的DVや経済的DV、社会的DVなど種類もさまざま。この作者の場合は暴言を浴びせる「モラハラ夫」。身体的暴力がないといっても、そのダメージは大きく、対象にされた人はとことん自分自身で生きる力を奪われてしまいます。そこから立ち直っていくのはすごいパワーがいるだろうな~と思います。

    このDV夫も外ではまともな会社員。頭も良く、稼ぎもありそう。妻を徹底的にバカにし、「おまえはダメなやつ」と言い暮らしていました。しかし、作者が漫画で芽が出始めると、嫉妬、焦り、怒り…でさらにモラハラに拍車がかかる。ついに作者はモラハラ夫と訣別する…というストーリーです。

    モラハラやる人は、自分自身に問題を抱えていて、実は自尊感情が低いのではないかと思います。だから弱いものをいじめて自分のパワーを確かめずにはいられない。

    自尊感情は大事ですね~。あるワークショップで「自分の長所を30個書きましょう」というワークをやったのですが、自分のいいところを自分で認めてないとなかなか書けません!! 自分を大切に思えない人は、人にもやさしくできない、と思います。自分を認め、受け容れるって生きていく上で絶対必要なことですね。


      


  • Posted by surlie  at 10:47Comments(0)

    2012年03月09日

    村山由佳著『放蕩記』


    村山由佳さんが書いた『放蕩記』を読んだ。
    いままでこの著者にはあまり関心がなかった。『天使の卵』だったか、書店で手にとったことがあり、ぱらっと立ち読みしたが、この人の小説はこの先も読むことがないだろうと思っていた。


    でも、『放蕩記』、読んでみると、引き込まれるように読み終えた。
    これもまた母に支配される娘の話だ。自伝的長編小説ということだが、かなりキツイ親子関係が見てとれる。
    母親は自分の思うまま、娘も夫も支配し、家庭のなかで王様になる。自分の教育方針を盾に、厳しずぎる躾をし、お小遣いをあげない。娘を認めない。母親に気に入られたい一心で、娘は過剰に親に適応していくが、思春期以降は母親に隠れて「放蕩」する。ようやく娘が母親を受け容れられたのは、母親が認知症になってしまってから。この辺り、佐野洋子の母との確執を思い出した。というか、母と娘の葛藤は、どこにでもある、誰にでもでも起きる問題で、家庭という閉じた場所で起きるために、子どもへの影響が大きく、娘はその思いを生涯引きずっていくのかもしれない。

    ついでに、『シックマザー~心を病んだ母親とその子どもたち』岡田尊司著も読んだ。こちらはもっとはっきりした「毒親」についての心理学者の考察という感じだ。精神的に病んでいる母親に育てられたら、子どもたちにどのような影響があるか、様々な事例を挙げて検証している。
    読んで感じたのは、もともと「シック」な「マザー」もいただろうけれど、「マザー」になって母親規範に縛られることで「シック」になってしまった人も多いのではないかということ。この著者にはそういう視点はまったく感じられなかったけれど。  


  • Posted by surlie  at 10:57Comments(0)

    2012年03月02日

    阿部真大著『居場所の社会学』

    昨年、自分の住んでいる自治体の計画つくりに参加したのですが、そこではさかんに「居場所」についての議論が行われていました。その「居場所」はどちらかというと、シニアや子育て中のお母さんが地域の中で集える「場所」の話だったのですが、この本でいう「居場所」は、「わたしはここにいて大丈夫なんだ」と思える承認の関係性の話でした。

    本来、「居場所がない」というときは、物理的な場所の話ではなく、「居心地の良い関係」のことだったんだなぁと遅まきながら気づきました。

    著者は生きづらさを乗り越えてサバイバルしていくために、「居場所に関する12の命題」という居場所論を展開します。なんだか堅い話のように思えますが、自分の子ども時代からの「居場所がなかった」体験が縷々述べられていて、そこから導き出された命題なので、説得力もあり、大変読みやすいです。

    大事なことだなぁと思ったのは、居場所をいくつも持つこと。著者の命題によれば「居場所はその人にとっての”いのちづな”である」そうです。いのちづなは1本2本では不安です。家庭と職場だけに居場所を限定せず、また特定の居場所にはまりすぎることなく、第三の居場所をもつことが望ましいとのことです。

    その他にもいまは絶滅しつつある「ヤンキー」の居場所論であったり、Jポップの30年を企業社会との関係から分析したり、とバラエティに富んだ内容で、大変楽しく読めたので、著者の他の本もぜひ読んでみたいと思いました。  


  • Posted by surlie  at 08:15Comments(0)

    2012年02月28日

    熊谷早智子著『母を棄ててもいいですか?』

    ショッキングな題名だが、サブタイトルには「支配する母親、縛られる娘」とあるように、母‐娘関係の問題を解き明かしてくれる本だ。

    子どもが可愛くない親なんていない、と思いたいけれど、そんな綺麗事ですまされない親子関係がある。著者の熊谷さんは夫からのDVで離婚したあと、自分が母親に愛されていなかったという事実に気付く。「モラル・ハラスメント被害者同盟」をネット上に立ち上げ、DV被害だけでなく、母親からのモラルハラスメントにあっていた多くの体験者の声を聴いてきた。

    親に意地悪を言われる。認めてもらえない。兄弟姉妹と差別される。極端に躾がきびしい。お小遣いをくれない。…
    親からの支配は教育・養育・躾という名目のもと、プライベートな空間である家庭で、幼少時から行われるので、その異常さに子ども自身が気づくことが難しい。

    私自身は母親に支配されたという記憶はあまりなく、幸いなことにいま自分の娘を支配しているとも思わない。
    しかし、「親」をやってみると、子どもを支配しかねない、思わず支配してしまいそうになる、そんな瞬間がいっぱいある。誰だってモラハラ親、毒親になりかねない怖さがある。

    筆者は様々なケースを紹介しているのだが、読んでみて感じたことは、子どもを支配する「母たち」が結局は自分自身を生きられていない、自尊感情が低く、自分自身を愛せていなかったように見えたこと。母だから、女性だから、という枠の中に押しこめられ、自己不全感を抱えて生きていたために、だれか自分より弱いものを支配しないではいられなかったように思えた。

    夫であれ、親であれ、自分にとって不幸せしか運んでこない人は、棄ててもいいんだよ。筆者のメッセージが伝わってくる。

      


  • Posted by surlie  at 12:52Comments(0)

    2012年02月26日

    深澤真紀著『働くオンナの処世術 』

    すっかりブログのことを忘れていました。
    このところ面白い本を何冊か読んだので、備忘録もかねてまたブログを書こうと思っています。

    さて深澤真紀さんの新しい本『働くオンナの処世術 ~輝かない がんばらない 話を聞かない~』。深澤さんはテレビのコメンテーターなどもなさっていて、「草食系男子」という言葉を生み出した、いわば時代の空気を読む、エディターにして、在野の社会学者、的な方。私は以前から大好きで、『自分をすり減らさないため人間関係メンテナンス術』はアマゾンで中古本を買ってしまったくらいです。(私は基本、本は買いません。原則、図書館で借ります。)

    「働く女の処世術」と聞いて、これって私にとっても必要なモノ!と思いました。昨年度末、職場の人間関係に悩み、退職した私(今はまた別の職場にいますが…)。私に欠けていたものは何?なんて殊勝な気持ちで読み進めました。

    結論を言ってしまうと、仕事で自己実現しよう!なんて思う方がおかしい、ってことですね。仕事はお金をもらって、プロフェッショナルにやること。自分を輝かせたり、必要以上に頑張ったりするものではないのです。その辺りが、誤解しやすいんですよね。仕事で認められて、イキイキ輝く自分!なんて幻想からなかなか逃れられない…ですね~。

    ともかく深澤さんは肩の力を抜いて、自分に楽なやり方でサバイバルしていこうよ!と言ってます。幸せを目指すのではなく、機嫌良く生きること。そんな風にモノの見方を変えてみると、もしかして、私もすごく機嫌良くいきていけるかも!!
    明日もテキトーに、でも誠実に、自分の仕事をやっていきたいと思う私です。  


  • Posted by surlie  at 00:58Comments(2)

    2011年10月03日

    からだの本

    新聞の書評で読んで面白そうだったものは、即住んでるまちの図書館に予約します。
    極力本は買わない方針ですface01

    この本もそういう感じで予約し、つい最近やってきました!

    『困ってるひと』大野更紗著。
    ビルマの難民支援などを研究実践していた大学院生が突然自己免疫疾患系の難病にかかり、苦痛に満ちた検査の結果、ようやく診断がつき、そこから恐ろしく痛い治療を受けるという壮絶な体験が綴られています。
    自己免疫疾患というと膠原病関係などが知られていますが、どうやらこの作者もそれに類する病気のようです。でも、リウマチなどに比べると症状が半端なく、ちょっと前まで元気に難民支援に行っていた若者が、日常生活も一人でできない状態にまでなってしまいます。
    読んでるだけで、「これは辛いだろうな~」と思う体験ですが、物書きの習性でしょうね、すさまじい体験も客観視して書いているので、作者一流のユーモアに笑わされつつ読めます。
    難病ということで周りの人に援助してもらうことを当たり前と感じていた作者が、その姿勢を質され、自分が行っていた難民支援の問題と自分の難病問題が同じであると気づくところが素晴らしい。
    からだのことは、こころのことにも関係してくるので、とても関心があります。


    この本を読んで、去年読んだ『身体のいいなり』内澤旬子著を思い出しました。
    こっちはがんになって、身体のことをケアし始めると、調子がめちゃ良くなったと言う話でした。
    からだとこころは別物だけれど、からだとこころは一体でもあるので、身体論は注目されていますよね。
    わたしも精神的にダウンすると体調もダダ下りするのですが、本当は体が悪くてもこころだけは元気でいられるといいのですがけど、なかなか難しいですね。どちらも上向きで行けると一番いいのですけどねface16

      


  • Posted by surlie  at 22:18Comments(0)

    2011年09月24日

    『日本型近代家族~どこから来てどこへ行くのか』




    「家族が一緒に仲良く暮らすことが一番!」と誰しも思いますよね。



    男性と女性が恋に落ちて結婚し、子どもを産み育て、生涯を共にする。
    愛らしくて可愛い子どもを母親は愛情深く育て、家族は仲良く、家庭は愛に満ちている。
    それが一般的に考えられる「家族」であり、「家庭」の理想形だと思います。
    でも、その考え方って実は古くからあった訳じゃないらしい。
    近代以前では結婚しない人も多く、恋愛観もいまとは違っていたし、子ども観も現代とはまったく異なっていたとのことです。
    つまりは「家族が一番大切」という考え方自体が近代以降のものなのですね。

    さらに、「家族」や「家庭」はプライベートな領域で、社会的なものから独立していると考えるのも幻想で、家族という制度は社会や国家と切り離して考えることができないらしい。
    「家族」とは素晴らしいだけのものとは限ってないんですね!
    たしかに、家族というと、DVや虐待、ひきこもり、別居、離婚、育児や介護に関する葛藤など、家族の問題がまず頭に浮かびます。
    核家族でお父さんが働いて、お母さんが家事育児を引き受け、子どもは二人という規範が、以前ほど機能していないのは確かかもしれません。

    というようなことを、千田有紀さん著の『日本型近代家族~どこから来てどこへ行くのか』を読んで、考えさせられました。

    * * * * * * * * * * * * * * * *

    先日、三十何年ぶりに中学の同窓会に出席しました。
    昔の同級生に会って、懐かしくて、とても楽しい時間を過ごしました。
    女性はみんなそんなに変わっていなくて、若く見えて綺麗なのに、男性はある人は頭髪が薄くなり、すっかり太っていたり、昔の面影のないひともいました。女性の方が時間の経過に抵抗できるのかしら?(わたしの偏見です)
    何人かに話を聞くと、家庭の中で育児、介護、パート労働など、家族を優先しなければならなかった状況が垣間見えました。
    若々しく溌剌とした同級生の姿に励まされたと同時に、女性の抱える問題の根深さを思いました。  


  • Posted by surlie  at 23:03Comments(0)

    2011年09月14日

    『上野千鶴子に挑む』

    上野千鶴子さんと言えば、誰もが知ってるフェミニストの大御所。
    彼女が有名になったことで、女性学、フェミニズムが認知されるようになったと言ってもあながち間違いではないと思います。
    その上野さんが東京大学を退官するにあたって、千田有紀さんを始めとする弟子たちが師の業績に挑んで論文を書き、この本を出されたということです。

    厚~い本で、しかも難しい話が多いので、まだ読み通せてはいませんface04
    16人の弟子による論文は、バラエティに富んでいて、ジェンダー論、主婦論争、男性学、おひとりさま、ケア問題と幅広いです。今まで上野さんのもとで学んでいた弟子たちが、師匠が打ち立てた理論に果敢にも挑んでいるという印象です。
    また弟子が書いた論文に、上野さんが返答するという作りになっていて、それも面白いです。

    16人の論文のなかでわたしが気になったのは千田有紀さんの書かれた「『対』の思想をめぐって」と妙木忍さんの書かれた「主婦論争の誕生と終焉―なお継承される問い」。千田さんの論文の最後には「実際には主婦にはならなかった上野ではあるが、その問題関心はつねに、否定的にではあれ、主婦であることだったのである」とあります。
    上野さんの研究はマルクス主義フェミニズムとか、ポストコロニアル批判とか、難しい話ばかりという印象もありますが、「主婦であること」に大きな関心を持っていたとは意外な気もします。
    しかし、わたしが上野さんの著作に惹かれ、またこの本が面白いと思うのも、わたしもまた主婦であることに強くこだわっているからだと思います。

    もっと時間をかけて読みこなしたい本です。

      


  • Posted by surlie  at 22:15Comments(4)

    2011年08月14日

    夏の読書週間?

    しばらく実家への帰省&旅行が続き、ネット環境が無かった日もあり、いろいろ本を読んだ。
    最近、読んで面白かったのが、『庶民たちの平安京』(繁田信一著)。
    平安京というと、紫式部や清少納言の書いた王朝絵巻的な話が多いけれど、この本はその時代に生きた庶民にスポットを当てその生活を描いている。

    10世紀11世紀ころの庶民(この場合、貴族や朝廷に仕え、都に住んでいた庶民)は、さすが中世の人なのか、ずいぶんおおらかな生き方をしていたんだなぁと思う。庶民が、御所に侵入して調度品を壊したり、ご馳走を食い荒らしたり…。牛車を引く牛飼童は、専門職として特別な地位にいたようだが、酒盛りが好きで、ばくちが好きで…。平安朝の庶民の実態は、洗練とは程遠い、けたたましく、粗野でおおらかなものだったのかもしれない。















    この著者は他にも『殴り合う貴族たち』『天皇たちの孤独』などの平安朝貴族ものをたくさん手がけているので、しばらく王朝文化にひたりながら、読書三昧しようかなと思ってる。外は暑いことだし。  


  • Posted by surlie  at 22:05Comments(2)

    2011年08月07日

    『災害ユートピア』

    震災があってから、この本がずっと気になっていて、図書館にリクエスト。
    最近ようやく順番が回ってきましたface02

    『災害ユートピア~なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか』レベッカ・ソルニット著 亜紀書房
    今回の震災で、日本人が決してパニックにならず、避難所でも平静を保って生活していたことが海外メディアで賞賛されていましたが、この本を読むと、大きな災害の時には、世界中のどこでも、人々は助け合いの気持ちを持って、利他的な行動を自然に取り、一時的にせよ連帯感のあるコミュニティができたということです。

    この本は歴史的ないくつもの災害~サンフランシスコの地震、メキシコシティ地震、ニューヨーク9.11、ニューオーリンズのカトリーナ台風~のサバイバーから聞き書きした体験談をたくさん集めていて、大変ブ厚い本。全部読めそうにないので、おもにニューヨークの9.11の章を熟読しましたが、みんなが助け合っているときに、ただエリート階級だけがパニックに陥って、大騒ぎしたり、デマを信じたりしたらしいというのは鋭い指摘!と思いました。

    今回の東日本大震災のときにも、多くの人々が自分たちで避難所を運営し、助け合いのコミュニティができていたとも聞きます。
    著者が言っているように「災害はわたしたちに別の世界を見せてくれる」こともあるのかもしれません。
















    6月24日に、東日本大震災復興基本法が公布されましたが、そこには「女性の意見が反映されるべきこと」が盛り込まれているらしいです。災害と女性の問題はこれからどんどん議論されていくべきことだと思います。  


  • Posted by surlie  at 21:30Comments(2)

    2011年07月29日

    『ワールド・カフェをやろう!』

    ワールド・カフェに関する本『ワールド・カフェをやろう!~会話がつながり、世界がつながる』(香取一昭・大川恒共著、日本経済新聞社)を読んでいます。

    ワールドカフェに関する本としては、ワールドカフェの創始者、アニータ・ブラウンとデビッド・アイザックスの著作『ワールド・カフェ~カフェ的会話が未来を創る』が有名ですが、この本は日本人の著者がワールドカフェについて書いたもので大変分かりやすいです。

    序章で著者は私たちを取り巻く社会の変化を
     ①コントロールからコラボレーションへ
     ②相互依存関係の複雑化
     ③「教える」から「学ぶ」へ
     ④指示命令からダイアローグへ
    と分析しています。
    たしかに、人と組織の関係性のあり方がここ何年かで大きく変わっています。

    ワールドカフェについては「結論が出なくてあまり意味が感じられない」という意見がある一方で、「自由で対等な場から生まれる会話から集合知を導き出すことができる」という意見まで、解釈もいろいろです。

    何回かワールドカフェを経験して思うのは、当然のことですが、ワールドカフェはツールの一つで、目的ではないということ。
    このツールを使って、何をしたいのか、何を導き出したいのかが大事ということです。

    対話の方法論について、もっと考えてみたいと思いますface01

      


  • Posted by surlie  at 22:59Comments(0)

    2011年07月06日

    マドレボニータの『産後白書』

    赤ちゃんのいるママから「マドレボニータの産後セルフケアの講座に通っている」という話を聞いていました。
    吉祥寺にも教室があり、すごい人気だとか。
    マドレボニータとはスペイン語で「美しい母」。「美しい母が増えれば、世界はもっと良くなる」という信念のもと、産後女性の健康回復と増進の講座を開き、女性たちのサポートをしているNPOです。

    そのマドレボニータが発刊した『産後白書』を読みました。
    読んだ感想は、一言で言うと「面白いicon_bikkuri2

    出産したばかりの母たち620人のアンケートをもとに、産後の女性のフィジカル、メンタルな状態を的確に分析されています。データも豊富で、参考になる情報もいっぱい!!また読み物としてもとても面白く、するする読めますface02

    特に、パートナー(夫)との関係は、産後すぐ、体もヘロヘロのまま、慣れない育児に昼も夜も追われるような生活をしているときに、夫から理解や協力が得られなかったら、夫婦関係はすぐに悪化しますよね。読んでいて、自分の産後すぐの大変な時期を思わず思い出してしまいました。

    『産後白書』、これから赤ちゃんを産むママ、パパ必読の本です!
    これを読んで、マドレボニータの活動からますます目が離せなくなりました。











    画像はマドレボニータさんからお借りしました。  


  • Posted by surlie  at 22:38Comments(0)

    2011年06月26日

    働く理由

    今日、図書館で戸田智弘著の『続・働く理由』という本を借りてきました。
    どこかの書評で「とっても面白い」と書いてあったので、「ぜひ読んでみたい!」と思ったのです。

    この本を開くと、最初に「なんのために働くのか」と書かれています。
    この問いはなかなか難問です。
    著者曰く、今の日本では食べるために働くというのは十分な説得力はない、
    【働く理由】=【お金】+【やりがい】なんだそうです。

    そうなのかもね、と思いますが、必ずしも人はやりがいのある仕事に就ける訳ではありません。
    「働く」ことに意味がなければいけないのでしょうか?
    私自身も、「なんのために働くのか」を考え過ぎて、疲れてしまい、結局働けなくなった経験があります。
    やりがいを感じられない仕事だとしても、その中に自分を生かす道を無理にでも見つける、ともかく働いてみる。
    それが仕事なのではと思ったりします。

    この本の中には99人の人の仕事に関する意見が書かれているのですが、私が気に入ったのは哲学者の池田晶子さんの言葉

    「自分に合った」仕事など、いつまでも見つからない。なぜなら、彼らは、「自分に合った」仕事を見つけたいと言う。その一方で、「自分がわからない」とも言う。つまり、わからないものによって、わからないものを見つけようとしているわけだ。そんなもの、見つかる道理がないではないか。自分というものは「わからない」のではなくて、自分というものは「ない」のだと、一度思い知らなければダメなのだ。 『知ることより考えること』新潮社より

    学校のキャリアデザインの課題で、自分のやりたい職業を考えてくるように言われて、「私にはやりたいことが特にない。どうすればいいんだろう」と困惑している高1の娘にこの言葉を送りたいと思います。

      


  • Posted by surlie  at 21:55Comments(3)